事業承継の方法2 社内事業承継(親族外への事業承継)

従業員承継とは、親族以外の従業員に事業を引き継いでもらうことをいいます。

 

会社内部の人間による事業の承継であるM&Aと対比して、親族内承継と従業員承継とを総称して「内部承継」と呼ばれることもあります。

 

社内の実情をよく知る従業員による事業承継は、親族内承継と並び、今もむかしも効果的な事業承継の手法です。

 

従業員承継で大きな問題となるのは、

① 株式譲渡の価格をどのように評価するか。

② 時に高額となる株式取得代金をいかにして調達するか。

の2点です。

 

先代経営者としては、これまで長年にわたって愛着をもって経営してきた会社を譲るのですから、相当の金銭的評価を前提としなければ納得して株式を譲渡することはできません。

また、実際問題としても、引退を予定している先代経営者としては、今後の生活資金として一定額の対価を後継者からもらいうけることを想定している場合も少なくありません。

 

他方、これまでサラリーマンとして会社に勤めてきた後継者の立場から見ると、株式の価値はできるだけ低く抑えて欲しいとの思いがあります。また、譲渡代金をいかにして調達するが問題となります。

 

長年何度も事業資金の融資を受けてきた先代経営者の感覚からすると、仮に株式譲渡のために後継者が数千万円もの借り入れを行うことになったとしても、会社が安定して利益を生み出しているのだから何も不安に思うことはないと感じるでしょう。

 

しかし、これまで従業員の立場にあった後継者はそのように感じることはできません。事業用資金の融資を受けた経験がない後継者が、株式譲渡代金の借り入れと対比するのは住宅ローンの借り入れです。住宅ローンと同等あるいはそれ以上の金額を、形のない中小企業株式の取得のために借り入れるというのは後継者にとってはそれこそ人生最大の大きな決断です。

 

この決断ができるか、ということそれ自体が後継者としての適格があるかの試金石となると考えることもできますが、株式を譲り受けてほしいと考える先代経営者はこのような後継候補者の心情に十分配慮することが必要です。

 

そして、連帯保証の解消/承継の問題が親族内承継以上に重要な問題となるのも従業員承継の特徴の一つです。

 

親族内承継の場合、後継候補者となる親族は、もともと先代経営者の連帯保証人の地位を承継する覚悟ができている場合も少なくありません。これに対し、従業員承継の場合は、そもそも会社にいくら借入金があるのか、そして、そのうちどの程度社長が連帯保証しているのか知らないのが通常です。

 

つまり、後継者は、事業承継が目前に迫った段階ではじめて、高額な借入金の連帯保証人となることを求められることになるのです。

 

このように、連帯保証の問題が事業承継のハードルとなることに鑑み、平成25年12月に経営者による債務保証の指針を示す「経営者保証ガイドライン」が発表され、そこでは事業承継に際して、既存の保証債務について適切な見直しを行うべきことがうたわれています。

しかし、その前提として、財務基盤の強化や経営の透明性確保などが求められており、実際には保証の解消は容易ではありません。

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